そけいヘルニア

そけいヘルニアとは  

「そけい(鼠径)」とは、太ももの付け根の部分のことをいい、「ヘルニア」とは、体の組織が正しい位置からはみ出した状態をいいます。
「そけいヘルニア (鼠径ヘルニア)」とは、本来ならお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が、多くの場合、鼠径部の筋膜の間から皮膚の下に出てくる病気です。一般の方には「脱腸」と呼ばれている病気です。

そけいヘルニア手術には保険が適用されます。
保険適用後の手術費用は3割負担の場合6万円から、傷が小さく(1.5cm程度、一カ所)痛みが少ない腹腔鏡併用手術の場合も限度額適応認定証をご持参いただくことで13万円程度までとなります(収入により金額は異なります)。

そけいヘルニアの症状  

初期のころは、立った時とかお腹に力を入れた時に鼠径部の皮膚の下に腹膜や腸の一部などが出てきて柔らかいはれができますが、普通は指で押さえると引っ込みます。
太ももの付け根(そけい部)に何か出てくる感じがあり、場合によりお腹の中から腸が脱出してくるので「脱腸」と呼ばれています。次第に小腸などの臓器が出てくるので不快感や痛みを伴ってきます。

はれが急に硬くなったり、押さえても引っ込まなくなることがあり、お腹が痛くなったり吐いたりします。これをヘルニアのカントンといい、脱肛している部位の血流が途絶えると、急いで手術をしなければ、命にかかわることになります。

そけいヘルニア(脱腸)になる原因  

外そけいヘルニア

そけい部(鼠径部)にはお腹と外をつなぐ筒状の管(そけい管)があり、男性では睾丸へ行く血管や精管(精子を運ぶ管)が、女性では子宮を支える靱帯が通っています。年をとってきて筋膜が衰えてくると鼠径管の入り口が緩んできます。

お腹に力を入れた時などに筋膜が緩んで出来た入り口の隙間から腹膜が出てくるようになり、次第に袋状<ヘルニア嚢(のう)といいます>に伸びてそけい管内を通り脱出します。いったんできた袋はなくならず、お腹に力を入れるとヘルニアのうの中に腸など、お腹の中の組織が出てくるようになります。これを外そけいヘルニアといいます。

内そけいヘルニア

年をとってきて筋肉が衰えてくるとここを直接、押し上げるようにして腹膜がそこから袋状に伸びて途中からそけい管内に脱出します。これを内そけいヘルニアといいます。

大腿そけいヘルニア

そけい部の下、大腿部(だいたい部)の筋肉、筋膜が弱くなって膨らみが発生するヘルニアを大腿ヘルニア(だいたいヘルニア)といいます。

そけいヘルニア(脱腸)になりやすい人  

鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)は、乳幼児の場合はほとんど先天的なものですが、成人の場合は加齢により身体の組織が弱くなることが原因で、特に40代以上の男性に多く起こる傾向があります。乳幼児でも中高年でも鼠径ヘルニア患者の80%以上が男性ですが、これは、鼠径管のサイズが女性は男性より小さく、比較的腸が脱出しにくいためと考えられています。

また、40代以上では、鼠径ヘルニアの発生に職業が関係していることが指摘されており、腹圧のかかる製造業や立ち仕事に従事する人に多く見られます。便秘症の人、肥満の人、前立腺肥大の人、咳をよくする人、妊婦も要注意です。
米国では鼠径ヘルニアで受診する人が年間80万人もいるといわれ、専門の外科医がいるほど一般的な病気です。日本では年間14万人位が手術治療を受けています。
多忙のため我慢していたり、「恥ずかしい病気」のイメージがいまだにあって、受診を渋っている潜在的な患者様もかなり多いと推定されます。